悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について
第16章 神楽坂蓮と『氷の薔薇』
氷の公爵の声は低く、しかし確信に満ちていた。
彼は私の足首を冷やしながら、じっと私を見つめる。
「私は理解した。舞踏会で彼女がなぜ、『氷の薔薇』と呼ばれるのかを。
彼女は普通の令嬢じゃない。友の為に怒り、仲間のために身を傷つける……彼女の奥に潜む、別の存在の意思だ」
その言葉に、心臓が跳ねる。
――しおり。私の中に潜むもう一人の私。
「ヴァイオレット嬢……いや、君の奥にいる誰か。
それが君を動かしているのだろう?」
ルシアン様の瞳は鋭く、氷の仮面の奥に熱を宿していた。
私は氷の微笑を浮かべながらも、心の中ではキャピキャピと動揺していた。
――やばい!これ、完全に正体バレイベントじゃん!
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先生の回復魔法が足首を包み、痛みが和らいでいく。
だが、心の奥の緊張は増すばかりだった。
「……ルシアン様。あなたは何を仰っているのかしら?」
私は微笑を深め、言葉を濁す。