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悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について

第19章 神楽坂蓮としおり


けれど、その続きを求めるように彼女は前へ進むと書き残した。

俺は紙を握りしめ、静かに微笑んだ。
「……なら、俺も進もう。次に君を見つけるために」

楽屋の静けさの中で、彼女の残した言葉が確かな絆となって胸に刻まれた。
楽屋の扉を静かに閉めた瞬間、心臓の鼓動が耳に響いた。
――あぁ、終わってしまった。
けれど、確かに彼と交わした言葉は胸に残っている。
 

「あなたの途切れた約束を胸に、私は前に進みます」

 
そう書き残した置き手紙。
短い言葉だったけれど、私のすべての想いを込めた。

廊下を歩く足取りは少し震えていた。
でも、不思議と軽やかでもあった。
夢と現実が交錯した時間。
あの温もり、あの瞳。
すべてが私を支えてくれる。

外の空気に触れると、冷たい風が頬を撫でた。
涙が零れそうになったけれど、私は笑った。
――だって、約束は途切れていない。
続きは、きっとまた。

胸の奥で静かに呟く。

 
「前に進もう。彼が見つけてくれるなら」
 

その余韻は、まるで夜風に溶ける旋律のように、私の心を温め続けていた。
楽屋の机に残された一枚の紙。
震える筆跡で綴られた短い言葉。

――「あなたの途切れた約束を胸に、私は前に進みます」

その文字を目にした瞬間、胸の奥が熱くなった。
彼女は確かにここにいた。
そして、俺の言葉を受け止めてくれた。

紙を丁寧に折り、胸ポケットへと仕舞う。
まるで護符のように。
次の舞台へ向かう俺の背中を支える力になると信じて。

廊下を歩く足音が響く。
スタッフの声、舞台袖のざわめき。
それらすべてが現実の音でありながら、胸の奥ではまだ彼女の声が残響していた。

――「前に進みます」

ならば、俺も進もう。
彼女が選んだ道の先で、再び見つけるために。

舞台袖に立ち、深呼吸をする。
胸ポケットに触れると、紙の感触が確かにそこにあった。
それだけで、心臓の鼓動が落ち着く。

 
「……行こう。次の舞台へ」

 
照明が再び暗転し、幕が上がる。
観客の歓声が押し寄せる中、俺は胸ポケットに宿る約束を抱きながら、前へと歩み出した。

 私は――俺は――前に進もう!
 何故なら私たちの――俺達の――道は必ず交差するから!
 その約束を胸に運命はまた回り出す。
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