悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について
第16章 神楽坂蓮と『氷の薔薇』
「――痛っ!」
突如、足首に激痛が走り、私はその場に座り込んだ。
すぐさまルシアン様が私を抱き上げ、空いているベッドに座らせる。
ドレスから足を引き出すと、彼は氷魔法で冷やし始めた。
本来なら淑女の足に触れることは許されない。だが、私たちは便宜上婚約者。許される行為ではあるが、突然のことで頬が赤らむ。
「やっぱり……」
「お、おい!公然で何をするルシアン公!」
ユリウス様が肩を掴むが、構わず彼は私の足首に氷魔法をかける。
「風の刃の傷をそのままにして、高いヒールで駆け回るから悪化したんだ!気づかなかった俺も悪いが……」
腫れ上がった足首は折れているのではと思うほどパンパンに膨れていた。
「先生を呼んでくる!」
アメリアは悲鳴を上げ、ユリウス様は医務魔法の先生を呼びに走る。
他の男性たちは礼儀に従い、私の足から視線を逸らした。
――痛いけれど、この絵面だけでご飯三倍はいけます!
ルシアン様が冷やす私の足首、その場に集う令息たち。
医務室は、事件の余韻と新たな絆の予感で満ちていた。
「先生を呼んできました!」
ユリウス様が戻ってきた瞬間、医務室の扉が開き、白衣をまとった先生が姿を現した。