悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について
第14章 嫉妬イベント発生!
次なる騒ぎはすぐに起こった。
私とルシアン様が曲が変わっても踊っていると、
不意に後ろから声がした。
「ヴァイオレット嬢、随分楽しそうじゃないか」
軽やかな声が響き、振り返るとノエル様が立っていた。
いつもの飄々とした笑みは消え、瞳には嫉妬の色が宿っている。
「僕は君の笑顔を引き出せると思っていたのに……氷の公爵に先を越されるなんてね」
肩をすくめながらも、その声には苦々しさが滲んでいた。
私は令嬢チートを発動させて、彼を宥めるように微笑を浮かべ、静かに答える。
「ノエル様……あなたのおかげで笑ったことも、たくさんありますわ。だから、そんな風に思わないでくださいませ」
ノエル様は苦笑を深め、視線を逸らす。
「……君はずるいな。そう言われると、嫉妬している自分が馬鹿みたいに思えてしまう」
私はそっと彼の手に触れ、宥めるように微笑んだ。
「ノエル様。あなたも大切な方です。だからこそ、心を曇らせないでくださいませ」
彼は小さく息を吐き、やがて肩の力を抜いた。
「……分かったよ。けれど、僕は諦めない。君の笑顔を奪い返すためにね」