悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について
第14章 嫉妬イベント発生!
煌めく音楽の中、私はルシアン様と舞踏を続けていた。
氷の公爵の瞳が、確信を宿したまま私を見つめる。
その視線に胸がざわめく。
――その時。
「ヴァイオレット!」
鋭い声が響き、振り返るとレオン様が立っていた。
彼の瞳は怒りと焦りに燃えている。
「どうして……ルシアン様なんかと踊っているんだ! 君は俺と一緒にいるべきだろう!」
拳を握りしめ、悔しさを隠しきれない。
その姿は、まさに嫉妬に駆られた令息のイベントそのものだった。
私は令嬢らしく微笑を浮かべ、静かに声をかける。
「レオン様……お気持ちは嬉しいですわ。ですが、今は後夜祭。争う場ではありません」
彼は唇を噛み、視線を逸らす。
「……分かってる。でも、君がルシアン様に取られるのは耐えられない」
その言葉に胸が痛む。
私はそっと彼の手に触れ、宥めるように微笑んだ。
「レオン様。あなたは大切な方です。だからこそ、嫉妬で心を曇らせないでくださいませ」
レオン様の瞳が揺れ、やがて拳を緩めた。
「……君はずるいな。そんな風に言われたら、怒れなくなる」
ここで、レオン様はすぐ引き下がってくれた。
”しおり”的私としては大興奮イベントだったが、
今は公爵令嬢”氷の薔薇”ヴァイオレット・ド・ローゼン。
ここは、冷静に冷静に……。