悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について
第13章 好感度アップイベント!後夜祭のダンスパーティー
庶民である彼女に、貴族の令息たちからダンスの申し込みが殺到する。
「え、えっと……!」
アメリアは慌てて私を見上げる。
その姿がいじらしくて、私は思わず笑みをこぼした。
「アメリア、楽しんで。これはあなたが輝く夜なのだから」
ルシアン様は黙ってその光景を見つめていた。
彼の視線は、変わったアメリアの姿に驚き、そして私の隣に立つ彼女を認めるように揺れていた。
アメリアに群がる令息たち。
着飾った彼女はまるで薔薇の花のように輝き、次々と差し伸べられる手に戸惑いながらも、健気に微笑んでいた。
その姿を見て、私は胸の奥が温かくなる。
――よかった。火傷の記憶を夜会の思い出に塗り替えられた。
満足げに彼女を見守っていると、ふと背後から気配を感じた。
「……ヴァイオレット」
低く落ち着いた声。振り返ると、ルシアン様がそこにいた。
氷の公爵と呼ばれる彼が、私の隣に歩み寄ってくる。
冷たい眼差しの奥に、わずかな揺らぎが見えた。
「君は……満足そうだな」
彼の言葉に、私は氷の微笑を浮かべて答える。
「ええ。アメリアが輝いているでしょう? 友人として、これ以上の喜びはありませんわ」
ルシアン様はしばし沈黙し、群がる令息たちを見やった。
「庶民の娘が、これほど注目を集めるとは……想定外だ」
その声には驚きと、ほんの少しの感嘆が混じっていた。
私は彼を見返し、静かに言葉を重ねる。
「立場や家格に縛られず、彼女は自分の輝きを持っているのです。……羨ましいくらいに」
ルシアン様の瞳がわずかに細められる。