悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について
第1章 目が覚めたら
自分の変わった姿を見て脳より遅く驚愕の声が上がる。
鏡は私の知ってるもう1人のわたしを写し出していた。
私が今プレイしてる乙女ゲーム『薔薇と罪の舞踏会』に出てくる主人公のライバルであり、破滅フラグ製造機であり、推しの婚約者である――
ヴィオレット・ド・ローゼン。
「……うそでしょ……」
鏡の中の私は、まさしく“あの”悪役令嬢だった。
銀髪、紫がかったグレーの瞳、完璧すぎる顔立ち。
攻略対象のルシアン公爵に嫉妬して、主人公アメリアをいじめ抜いて、最終的に断罪される“破滅令嬢”。
「待って待って待って……これ、嫌われるルートじゃん!!」