悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について
第11章 文化祭とヴァイオレット
「ルシアンが賛成なら……」
「確かに見てみたい!」
と声が上がり始めた。
さらにアメリアも、穏やかな笑みを浮かべて頷いた。
「私も賛成です。しおりさんの提案、きっと文化祭を盛り上げますわ」
しおりは胸を張り、茶目っ気たっぷりに微笑んだ。
(やった……同担拒否オタクの私だけど、コスプレ1度やってみたかったんだよねー🎵)
こうして、男女逆転メイド&執事喫茶という前代未聞の企画は、賛同の声に包まれてクラスの正式案となった。
文化祭は、ただの催しではなく、しおりの茶目っ気と仲間の賛同によって、物語の新たな舞台へと変わろうとしていた。
――文化祭当日。
ヴァイオレットのクラスは、物珍しさと社交の場として大盛況だった。
噂を聞きつけた野次馬の多くは――「ルシアンが女装するらしい」という話題に引き寄せられていた。
だが、まず目を引いたのはヴァイオレットの執事姿だった。
黒の燕尾服に身を包み、堂々とした所作で給仕をこなす姿は、まるで本物の執事のよう。
「……あー!飲食店でバイトしてたの思い出すなー」
心の中でしおりが呟き、懐かしい感覚に浸っていた。
その時――。
ルシアンが姿を現した。
深い漆黒の髪に、白いカチューシャが眩しく映える。
青みを帯びたグレーの瞳は冷静さを保ちながらも、黒いワンピースと白いエプロン姿に包まれると、知的でミステリアスな雰囲気を醸し出していた。
「この俺がまさか女装するなんてな」
ルシアン――そしてその奥にいる神楽坂蓮は、心の中で苦笑していた。
だが、役者として培った蓮の演技スキルと、ルシアンの品性が合わさることで、彼の姿はただの女装では終わらなかった。
その給仕は、まるでメイド長のような品格を備え、来場者を圧倒していた。
一方、アメリアはローゼン系から借りた執事服に身を包み、男装していた。
あどけない顔立ちが少年のように映え、女性客からは「可愛い!」と黄色い声援が飛んでいた。
笑いと歓声に包まれ、クラスの企画は大成功に見えた。
しかし――事件は起こった。
文化祭の喧騒の中、事件は突然起こった。
熱々の紅茶がアメリアの肩にかけられ、彼女は小さく悲鳴を上げた。
「熱い!」