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悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について

第11章 文化祭とヴァイオレット


夏休みが終わり、校舎には文化祭の準備のざわめきが広がっていた。
クラス会議で「何をやろうか」と議題が出た瞬間、真っ先に手を挙げたのはヴァイオレットだった。

「メイド&執事喫茶ですか? ローゼン嬢……」
議長のクラス委員長が目を丸くする。

(文化祭と言えばメイド喫茶は定番!しかもこの世界ならではの、メイド・執事制度あり!これはコスプレ乗っかるしかないでしょ!)

完全に“元19歳の女性”という意識はどこへやら――ヴァイオレットことしおりは、この文化祭を、この世界を、とことん楽しむつもりでいた。

(元の世界に戻る方法は……ゲーム攻略にあるかもしれない)
ある日そう思い至った。だが、それは仮説の域を出ない。
いつ戻れるかも分からない。もしかしたら一生戻れないかもしれない。
ならば悔いなく生きよう――そう心に決めたのだ。

しおりは立ち上がり、提案に込めた思いを語り始めた。
「不粋と思う方もいるかもしれませんが、このメイド&執事喫茶には、ちゃんと名目がありますの。保護者も来席する文化祭で、給仕するその所作の美しさに、自分の家のメイドや執事の品格が映し出されます。主人であるなら、その所作を気にしているはず……そしてそれを体現することで、主人として適切に教育できているか、また労働者に配慮できているかどうかを問われるのですわ」

教室は一瞬静まり返り、次いでざわめきが広がった。

 
「なるほど……ただの扮装じゃなくて、意味があるってことか」

 
「保護者も納得しそうだな」

 
「面白い!やろう!」

 
しおりは微笑んだ。
(これも攻略の一歩になるかもしれない……。でも、何より楽しいからいいわ!)

調子に乗った‪”‬しおり‪”‬ヴァイオレットは止まらない。

「それに、どうせなら男性と女性を入れ替えてはいかがかしら?
男性がメイドをやり、女性が執事をやる……性別を入れ替えることで、理想の執事やメイドを体現するのです。そして入場者に投票していただくのも面白いですわ!」

教室に一瞬の沈黙が走る。
完全に“しおり”の暴走だった。

「えっ……逆転?」

 
 「それは斬新すぎる……」

 とざわめきが広がる中、ルシアンが小さく笑いを堪えながら手を挙げた。

 
「面白いかもしれない。賛成だ」

 
その言葉に、教室の空気が一気に変わる。

 
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