悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について
第2章 主人公と友達になろう!
(これ、実質プロポーズでは?)
講堂の空気が冷えていく中、私の心は逆に燃え上がっていた。
氷属性の舞踏なのに、心は火属性。
好感度は+20どころか、+200くらい跳ねてる気がする。
──でも、令嬢としては優雅に微笑む。
スカートの端を摘み、優雅に一礼する。
語彙力が死んでも、姿勢は崩さない。
(だって私は、推しに好かれる令嬢になるって決めたんだから)
「ヴァイオレット様、今日もご一緒しても?」
昼休みの中庭。アメリア・ブランシュが、少し遠慮がちに声をかけてくる。
栗色の髪を揺らしながら、彼女は手作りのサンドイッチを差し出した。
「もちろん。むしろ、私の方こそお願いしたいくらいよ」
わたしは笑顔で受け取りながら、心の中でガッツポーズを決めた。
破滅フラグ回避どころか、友情ルートに入ってる。
ゲームでは絶対に見られなかった、アメリアとの穏やかな昼下がり。
「ヴァイオレット様って、思ってたよりずっと優しいんですね」
「……そうかしら。昔の私は、少し意地悪だったかもしれませんわね」
「でも、今のあなたは……すごく、お優しくて素敵です!他の貴族の方とは随分違いますね」
アメリアの言葉に、私はは少しだけ目を伏せた。
推しに好かれるために始めた“改革令嬢”計画。
でも、こうして誰かに“素敵”と言われるのは、やっぱり嬉しい。