悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について
第2章 主人公と友達になろう!
訝しるルシアンの質問に笑顔でかわす。
「……君は、本当にヴァイオレットなのか?」
その言葉に、私は一瞬だけ足を止めそうになった。
でも、踏み出す。
今の彼のつぶやきが届いていない様に。
目覚めてから感じるのだが、ルシアンは私になにか疑いの眼差しを向けている。
そして私も感じてた。なんか……乙女ゲーのルシアンと、ここにいるルシアンは感じが違う。
しかし、考え込む暇は無い。
今は好感度をあげて、破滅フラグ回避だ!
この世界で、私は“しおり”として生きている。
推しに好かれるためじゃない。
推しと、選び合うために。
「今の私は、あなたに好かれたい私です」
わたしの正直な言葉にルシアンの瞳が、ほんの少しだけ揺れた。
そして、彼は微笑んだ。
「……なら、踊ろう。」
氷の花が舞う中、私たちは踊り続けた。
講堂の空気が、静かに変わっていく。
ざわめきは尊敬に変わり、視線は憧れに変わる。
私は、悪役令嬢じゃない。
推しに好かれるために、世界を変える令嬢になる
でも……