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悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について

第19章 神楽坂蓮としおり


夢で繋いだ絆が、現実でも確かに繋がった。

 
「あ、ご挨拶が遅れました。わたし、藤咲しおりと申します」
 

彼女はぺこりとお辞儀をした。緊張で肩が震えている。
その仕草が妙に他人行儀で、胸の奥に違和感が走った。

――たしかに彼女だ。
前髪を耳にかける仕草、瞬きのタイミング。
すべてが、庶民派を装ったヴァイオレットそのものだった。

だが、ここは楽屋。
彼女はゲームの一ファンで、俺は声優として舞台に立っただけ。
そんなことは分かっている。
けれど、この“わかっている”という壁が、俺と彼女を隔てていた。

沈黙が流れる。
俺は一歩近づき、彼女の瞳を見据えた。
「……しおりさん」

彼女が小さく肩を震わせる。
俺は声を落とし、誰にも聞かれないように囁いた。

「夢の中で君と踊ったこと、俺は忘れていない。
この世界では、君はファンで、俺は声優だ。
それでも――俺たちの物語はまだ続いている」

彼女の瞳が揺れる。
俺はさらに言葉を重ねた。

「だから、約束しよう。
次に君が迷った時、俺は必ず君を見つける。
舞台の上でも、夢の中でも、現実でも。
君がヴァイオレットであろうと、しおりであろうと――俺は君を見失わない」
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