悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について
第17章 ルシアンとヴァイオレット
月明かりが窓を照らす中、氷の公爵ルシアンの冷徹さと、神楽坂蓮の覚悟が重なり合う。
物語を終わらせるための執着――それが、俺の決意だった。
……やっぱり、違和感がある。
私はヴァイオレット・ローゼン。そう、この世界では確かにそういう存在だ。
けれど、どこかで”わたしがヴァイオレットを演じている”というか、『動かしている』という感覚が拭えない。
女性声優には詳しくないけれど、私の声をあてているのは新進気鋭の新人声優だった気がする。
それでも、依然として私は“ヴァイオレット”であり、彼女の声は私の声として響いている。
『氷の薔薇』の力――怒りや感情の昂りで発動するチート。
それは確かに特別な力だが、それ以外はまったくの“自分”である。
まぁ、令嬢としての立場やチートは別として。
だが、分からないことがある。
何をしても好感度が上がっていくのだ。
危ない橋を渡ってきたはずなのに、今のところアメリアが言う通り、まるでハーレム無双。
好感度ゲージが勝手に跳ね上がるような感覚に、私は冷静に突っ込まずにはいられない。
そして、もっと奇妙なのは――隠しルート。
本来なら一度きりのはずなのに、何度も何度も発生している。