悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について
第17章 ルシアンとヴァイオレット
まるで物語そのものが、私を中心に分岐を繰り返しているようだ。
……気になるのはルシアン。
彼の瞳の奥に、私は“神楽坂蓮”の存在を感じてならない。
氷の公爵としての冷徹さの奥に、役を演じる声優としての意識が滲んでいる。
彼もまた、この世界に違和感を覚えているのではないか。
「もしかして……このゲームを終わらせるのは彼が鍵なのかもしれない」
そう思い立った瞬間、胸の奥で何かが震えた。
私と彼――ヴァイオレットとルシアン、しおりと神楽坂蓮。
二人が物語を完結させなければ、この世界は終わらない。
そして、私たちは元の世界に戻れない。
氷の微笑を浮かべながらも、心臓は跳ね続けていた。
――この物語を終わらせるために、彼と向き合わなければならない。