第2章 お互いがお互いの幸せで
「そう……かもしれないですね」
正直、決め切れていなかった。
会える保証はないけれど、もう一度小狼くんに会いたい。
元居た世界にはもちろん戻りたい。
ただ、戻ったところで、その世界は本当に”自分のいた世界”のままなのだろうか?
例えば、自分が異世界旅行を始めてから、もう100年経過していた……なんてこともないわけではないのだ。
それでも……
「まだ、私にはここで旅をやめる理由がないです。
たから……旅を続けたいです。」
それが本心だった。
確かに玖楼国は良いところだが、だからと言って、ここに定住します!とは言いきれないのだ。
ファイの瞳が少し見開かれた気がした。
「オレも黒様も旅を続けるよ。
けれど楽しいことばかりではもちろんない。
だからちゃんにはこの玖楼国で生活をして……」
「……私が、足手まといだからですか」
の瞳からは自然と涙があふれた。
ファイはごく自然にの涙を拭いて、抱きしめてくれた。