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【ツバサ/ファイ】短編集

第1章 いつか夜が明けた時には


武装集団に囲まれたままは、領主の城へと歩く。

「この女、もしご子息様が気に入らなかったら、俺たちにも借りれるだろうか?」
「そうだなぁ……もしそうなったら、殺される前に一度皆で回すか」

最低最悪な会話が聞こえてくる。
全くと言っていいほど気乗りしない。
ファイ達がいるはず……それだけがの足を動かす原動力だ。

城に着き階段を上っていると、男達の息が色々な意味を含んで浅くなっていた。

「こんな肌も髪も綺麗な女は久しぶりに見るな」
「あぁ、皆もうボロボロの老婆だもんな」
「なぁ……領主様とご子息様はあの余所者どもを倒しているんだろう?
 その前に、皆でこいつを試してみないか?」

誰かの一声が合図だった。
は壁際に追い詰められ、無数の手が迫ってくる。
「ひっ……やだ……!」
「ご子息様の前に少し相手をしてもらうだけさ。
 傷つけやしないから、安心しろ」

誰かの手が、せっかく借りた衣装を破り捨てた。
男達は見たこともないであろう下着に歓喜の声を上げて、の肌に手を這わせた。

その時。
「伏せろ!!小娘!!」
黒鋼の声が響いた。
が目を閉じ伏せた瞬間、男達の悲鳴が響いた。

「ちゃん、大丈夫ー……じゃなさそうだね」
すべて終わったのかファイに声をかけられる。
ファイはの乱れた服装を見て、さすがに顔をしかめた。
「ファイ、さん……」

ファイが、の目に溜まる涙を拭おうと手を伸ばした。

その瞬間。
は、ファイの手を叩き、触れられるのを拒んだ。
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