第1章 いつか夜が明けた時には
領主がサクラの羽根を持っているのではないかという仮説に辿り着いた一行は、さっそく領主の城へ向かう。
母親の仇を取りたかったと泣く春香をなんとかなだめ、家の中に入れる。
「お茶でも飲んで落ち着こうか」
は、春香に何も言えないもどかしさに耐えかねて立ち上がり、水を汲もうと外に出ようとした。
扉の向こうにいたのは、先日見た息子が連れていた武装集団だった……。
「こいつか、ご子息様がお気に召されたという娼婦は!」
「……っ」
最悪すぎる。
今ここにはを守ってくれる人はいない。
いや、かえってが守らなければならない人しかいない。
サクラも春香もどう見てもより年下だ。
だから……。
「……領主の城へ連れて行くの」
「あぁ!ご子息様が今夜の閨の相手をお探しだからな!
上手くやれば領主様のお相手もできる。光栄なことだろう!」
は、吐き気をこらえながら、サクラと春香を守るために彼らに従った。
城に着けば、ファイ達がいる。
にとって、一世一代の賭けだった。