Welcome to『Whale Hole』 u/s/s/s
第1章 Welcome to『Whale Hole』
Aのスペード、Aのハート、Aのダイヤその順番で引かれた。
読み上げるたびに、部屋の空気がじわじわと熱を帯びていく。
自分の口から彼らの順番を宣言しているのだという事実が、の胸をさらに締めつけた。
セ:「……ほな、順番はこれで確定やな」
志:「結局いつも通りの並びになってるやん」
坂:「それも俺ららしくない?」
セ:「やんなぁ…運命を一瞬信じてまいそうやったわ。なんにせよ、トリを任せてもらえるのは本望やけどな」
は思わずセンラを見る。
その目に浮かぶ色は、優しさと同じくらい濃い独占欲で塗りつぶされていた。
セ:「ほな──一番は、うらたん。あ、解ってると思うけど、ルールはちゃんと守ってや?じゃ、まーしぃーも坂田も隣の部屋に行こか」
志麻、坂田は軽く笑いながら別室へ向かう。
しかしその背中は、どこか獲物を見守る獣のようだった。
最後にセンラが、に向かって低い声で告げる。
セ:「全部見とるからな?一つ残らず、見せてもらうで」
その言葉は優しさにも聞こえるのに、同時に逃れられない鎖のように感じられた。
扉が閉まり、部屋には、うらたとだけが残される。
うらたがの隣に腰を下ろし、静かに笑う。
こうして、静まり返った部屋の奥で、触れもしないはずの気配だけが肌をなぞった。
これから始まるものを、どちらもまだ言葉にできない──けれど確かに、甘く危うい予兆だけが、そっと息を潜めていた。