第4章 残る想いと結ぶ誓い
「ほんなら何で悟くんをカードに使ったんや?悟くんとこ戻る気やったからやろ?」
淡々と問う直哉の声に、仁美は湯に濡れた睫毛を震わせながら答えた。
「ちがう。……あの場に悟くん呼んだんはあんたとあの芸妓さんにムカついたからや。」
直哉は一瞬ぽかんとし、それから大きくため息をついた。
「……はぁ?お前なぁ……嫉妬で使うには、悟くんは桁違いやろ。普通、もっと軽い相手おるやろが。あの天上のバケモン切るとか、やりすぎや。」
直哉は呆れと本気の疲労が混ざった表情で仁美に言った。
仁美は一瞬グッと喉を詰まらせた。
「……分かってる。分かってるけど……あの時は、自分の気が済まへんかったんよ。」
自分の感情ひとつで五条悟を動かしてくる自分の妻。
それを簡単にやる仁美もまた、とんでもないバケモノだ。
そんな仁美に直哉は眉を押さえて笑う。
「……ほんま、勝ち気やなぁ。白椿は弁えとるええ女やで?お前とは違うて。」
「納得できるかいな。……弁えとるかどうかなんか、関係ないわ。」