第9章 揺らぐ灯と交わらぬ影
そもそも同じ女を何度も抱くことも無い。
その場だけ楽しめればよいと思っていた。
しかし結婚をし、直哉なりに仁美には気を使っていた。
宥めてはキスをして、涙を拭いてを繰り返す。
この面倒な女が自分の妻なのだ。
「っ…うっ。」
嗚咽の中に甘い声が紛れた。
直哉はそれを見逃さずに仁美の体を抱き締める。
背中を撫でていた手は湯の中で胸へと移動する。
柔らかい乳房に触れると、仁美の顔が歪んだが手は直哉の胸元に止まっていた。
指先で突起を摘み、先端を撫でると合わせている唇からさらに吐息が漏れる。
直哉は唇を離して、細い首から鎖骨にかけて舌を這わせた。
仁美の足を開いて自分の上に跨がせると、指を割れ目の中に馴染ませる。
「直哉……嫌や。誤魔化さんといて。」
「誤魔化しやない。今仁美を抱きたいんや。」
こんな場所だから、たいした愛撫は出来ない。
だけどそんなことも問題ない。
仁美の中は直哉のキスだけで濡れるのだから、指で少しほぐしてやれば十分だ。