第8章 禪院の道具と女の本音
直哉と寝ることは至って簡単だった。
いつもなら勝手に直哉が抱いてくるから。
自分から誘うことなんて、今まで無かった。
だけどそれはそんなに難しい事じゃなかった。
直哉の口調は淡々としていたけど、彼の目にはしっかりと情欲の色が見えているからだ。
仁美はただ、その情欲に染まればいいだけだ。
恥ずかしさはあるけど、手を止めるほどでも無い。
仁美はすぐに彼の袴の帯を解いた。
着せるのも脱がすのも慣れていたので、彼の体に唇を当てる余裕すらあった。
初めて唇で触れた直哉の肌は固くて彼の匂いが鼻腔の奥を通り抜けた。
おかしなことに、それだけで彼を好きな気持ちが増長するようだった。
いつも直哉がくどいほど、自分の体を粘る理由が理解できた。
ずっとキスを続けて、肌を合わせたい気持ちが頭の中をいっぱいにする。
「……ええ顔しとるな、仁美。」
仁美の前髪を掻き上げてその表情を確認すると、直哉はニヤッと笑った。
直哉は仁美の頬を掴むと、自分に引き寄せキスをする。