第6章 檻の中の蜜と矜持
縁火を通じて拡散していた呪力が、一気に、仁美へ引き戻される。
回復のために集められた力。
治癒のために開いていた回路。
それらすべてが、制御もなく流れ込む。
「……っ!!!」
仁美の体が、びくりと大きく跳ねた。
息が詰まり、背が反り、指先が強張る。
次の瞬間。
仁美は、音もなく崩れ落ちた。
直哉の目の前で、その細い体は床に打ち付けられた。
倒れ伏した仁美を見下ろして、眉をひそめたまま直哉は言葉を漏らした。
「……は?死んだん?」
冗談とも本気ともつかない声。
だが、その直後、直哉の足が無意識に踏み出していた。
床の呪印を踏み、膝をつき仁美の傍に落ちる。
「おい。」
仁美の肩に手をかけても細い体は力なく、簡単に揺れた。
「……仁美。」
返事はなく直哉の眉が、わずかに寄る。
そして次に指先を、首元へ滑らせる。
脈は弱い。だがある。
「……チッ。気絶か。」