第6章 檻の中の蜜と矜持
しかし、自身の反転術式をあの日から鍛錬していたとしても、直毘人に入れられた静の間での時間は仁美の体を蝕んでいた。
反転術式を常に回していないと体調を崩す仁美にとって、術式を封じられた静の間は死に至るも同然だった。
それを無言で7日耐えたのだ。
その後すぐに術式の命令。
仁美はこれこそが直毘人の懲罰だと分かっていた。
拒否権のない内容。
ここで仁美が命を落としても、それはそれで構わない。
直毘人はそう判断したのだ。
仁美は、直哉の兄に縁火を通した。
呪力は十分に上がり、結果も出た。
どの階級の呪霊だとて、直哉の兄がその呪力を浴びることは無いと思っていた。
返命を使うことは無い。
ならば、自分への反動は少ないはずだった。
直哉も、同じように思っていた。
縁火の結果を見て、この任務はここで終わると。
だがその時。
遠くで、呪力が“爆ぜた”。
それに反応するように、仁美の内側で、何かが引きずられる。
返命が発動した。