第5章 白銀の面影と漆黒の断絶
悟は唇から指を離すと、そのまま仁美の肩に手を置いた。
「選んだのは仁美…。お前だよ。僕の手を取った時から自分の隣に誰を置いたのか理解するべきだったな。」
仁美は何も言えずに悟を見ていた。
その困惑の顔に満足したのか悟は小さく笑った。
「これから仁美がどんな風に禪院家で過ごすのか楽しみだ。」
そう言って仁美から手を離すと、仁美を置いて部屋から出ていく。
仁美は離れていく悟に声を掛けられなかった。
結婚式の初夜。
仁美が掴んだもの。
禪院直哉の嫁という立場。
そして、五条悟という後ろ盾。
仁美自身が選び、受け入れ、飲み込んだ結果だった。
胸の奥に重く沈む感覚を確かめるように、仁美はぎゅっと拳を握る。
仁美はゆっくりと息を吐いた。
自分は、禪院直哉の妻として立つ。
そして、五条悟の後ろ盾を背負ったまま、この世界を生きていく。
握りしめた拳を、静かにほどいた。