第3章 神様ありがとう
『は!ずっと前から好きでした!』
「あ、ありがとう……」
町のど真ん中で歓喜の気絶をした私を、サクラさんが病院まで連れてきてくれたのだった。
木ノ葉病院の処置室で目覚めた私は、起き上がるなり、またも恥ずかしい発言をしてしまったようだ。
『す、すみません。あの…本当にすみません!』
突然話しかけてきた相手が、突然倒れて、起き上がるなり「好きでした!」はないよ…。
私は目を固く瞑り、サクラさんに頭を下げた。
気持ち悪い…私、絶対に気持ち悪い子だ…。
沈黙が…物語ってる。
サクラさん、きっと引いてるんだ。
今までもそうだった。
――太巻さんって……オタク?――
少し仲良くなった子に、自分の好きなものを話したら…引かれてしまった。
そんな風に見えなかった…漫画の話になるとよく話すよね…。
もともとよくおもわれてない私を、みんなは見てくれない。
本当の自分なんて見てくれる人なんていなかった。
「フフ…あっははははは」
頭上から突然笑い声がきこえ、私はサクラさんを見上げた。
ベット横に腰かけたサクラさんはお腹を抱えて笑っている。
『あ…あの…』
「あ~ぁ、おかしい。ごめんなさい。突然笑ったりして。だって、貴女面白いんだもん」
面白い…?
そうでしょうか…?
「一人でブツブツ言ってるかと思ったら、突然倒れて、起きたと思ったら告白…あはははは」
なんか…改めて説明されると…
本当私って…。
『かたじけない…です』
「なにそれ!武士?あはははは」
笑われているけれど…怒ったり引いたりしているわけではないみたい。
サクラさんの様子に少し安堵して、私はマジマジと爆笑するサクラさんを見つめていた。
憧れていた。
同じ女性なのに、努力を惜しまず、持ち前の負けん気でどんどん強く成長していくサクラさん。
綱手様のところに弟子入りしてるはずだから…すごく強くなった頃だよね。
すごいなぁ。
感激に浸っていると、いつしか笑い終えたサクラさんと目があった。
「ところで、調子はどう?もう大丈夫?」
『あ、はい。すみません。』
間近で見ると…本当可愛いなぁ…。
「体弱いの?いつもすぐ倒れたりする?」
『あ、あの…はい。昔からそんなに強くないの…です』
興奮して気絶したなんて…さすがに言えません。