第9章 オリジナルストーリー万歳!!
『ポッチャリさんで…素敵です。』
そうだよね!僕の魅力がわかるなんて
君素晴らしいよぉ!!
と、チョウジ君とヘラヘラ和むのだった。
(ちょ…シカマル…これって)
(あぁー…。俺、アイツのことポッチャリで素敵なんていう女初めてみた)
((変わってるというか…ある意味すごい…))
チョウジへの禁句回避に何より安堵した二人だった。
──────────…
『おやすみなさーい』
自室へ戻った私は
ベットへ仰向けに寝転がると
『フッ…ウフフッ…』
と、にやけるのをとめられなかった。
昼間に思わぬ猪鹿蝶トリオと出会えた嬉しさと、シカマル君とお昼ご飯を食べるという、何とも夢小説的な展開に
ニヤニヤしてしまう。
そして…
温泉旅行…。
『オリジナルストーリーだよねこれ!オリジナル!!ウフフフフ』
――慰安旅行みたいなもんだってよ。火影様が日々のお礼に企画したらしい。
中忍以上参加らしいぜ?
あんた…待機所勤務だろ?
んで、体調のこともどうとかで、先に伝えてくれって言われたんだよ――
お昼ご飯を食べ終わり、別れ際にシカマル君から聞いた、慰安旅行話。
先に伝えてくれという火影様の優しさに
本当に嬉しくなってしまった。
薬を持っていかなくてはいけなかったり
体調を崩してしまったり…
今回は参加出来ると喜んでいると
普段の授業を休みがちなのに
行事には参加するのかとか…
私はいつだって蚊帳の外だった。
でも木の葉の皆は違う。
いつもあったかくて
私も一人の仲間として接してくれる。
近くの枕を抱き締めて
幸せに浸っていると…
ふと、昨日のカカシ先生とのことを
思い出す。
――あんた本当に太巻瑠璃か――
私…本当に
なにも話さないでこの世界にいて
いいのかな……。
心に湧いた不安感を押し殺すかのように
引き寄せた枕をぎゅっと抱き締め
旅行にいける嬉しさを思い返すのだった。
ずるいよね…私…。
でも戻りたくない…
あんな辛い毎日に
戻りたくないの……。