第9章 オリジナルストーリー万歳!!
受付を後にしたヤマトは
先程の瑠璃の様子に
引っ掛かるものを覚えていた。
昨日の出来事を問いかけた際の
一瞬の視線の揺らぎ。
瑠璃は何かを誤魔化していた…?
そこまで考え、
ふと歩みをとめるヤマト。
昔から戦の世界に身をおいてきた事もあり、人の変化に敏感になっている自分に
溜め息とともに苦笑がもれる。
身近な相手にまで
詮索するような思考に嫌気がさした。
「やっと再会できたんだ……」
大切な存在にまで、忍としての目で見るのはやめようと思いつつも、ヤマトの中に、もやっとしたものが残っていた。
――――――……
「テンゾウ…ヤマトさん…ねぇ…?」
珍しく上機嫌で酒を流し込んだせいか
昼時の起床となったカカシは、
忍服に着替え、待機所へと向かう。
昨晩の瑠璃とのやり取りの中で
わざと仕掛けたわけではないが、
結果的に誘導することに成功した事実を、当人に確認するためであった。
太巻上忍の一人娘。
テンゾウの幼馴染み。
危険度など、彼女の様子からいって皆無といえる。
しかし、覚えていないで済ませてよいのかと
長年の自分の勘が囃し立てる。
図ったかのような偶然に
少し驚きつつも、
今まさに探していた本人が自分の方へと
歩いてくる。
カカシは何時ものごとく
気だるそうに片手をあげると
声をかけるのだった。
「先輩……?おはようございます」
「よっ。昨日はお疲れさん」
素直な驚きとともに、
カカシがどうも自分を探していたような素振りに、
何か面倒事を押し付けられるのではないかと、内心嫌な汗が流れる。
これから何か予定はあるのかというカカシの問いに、
特にないことを伝える。
少し話せないかと、いつものカカシとは違う真剣な雰囲気に身構えつつも、後に続くヤマトだった。