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【NARUTO】夢見が丘【トリップもの/中編】

第6章 空白の時間



小さい頃に大蛇丸から人体実験を受けた事で、木遁が使えるようになった僕は、機密扱いされ、根に所属していた。
その後、3代目様直属の暗部となり、常に影に徹して過ごしてきた。
3代目様の恩恵で、アカデミーに通うことが出来たが、人付き合いが苦手で、気味が悪いと…クラスの奴等に馴染むことが出来なかった。
何故、僕なのか。
木遁なんか好きで使えるようになったわけじゃない。
もっと、普通に過ごしたかった。

僕は、ただ普通に忍を目指すキラキラした皆が不快で仕方なかった。

そんな僕を気持ち悪がったりせず、普通に接してくれたのが太巻だった。

太巻は何をしても下手くそで、体も弱く、何故アカデミーなんかに通っているのかと、皆から邪魔扱いされながらも、毎日笑顔を絶やさず、頑張る姿に、僕のくすんだ気持ちも晴れていくようだった。

僕と太巻の出会いは一つの事件がきっかけだった。



「違う!!僕じゃない!!」
「お前に決まってる…親もいないし、気味の悪い術を使う変なやつって母さん達も皆言ってる!!」

クラスの子の忍具がなくなるという出来事だった。事件というにはあまりに幼稚な出来事だが、当時の僕達には大事件だったのだ。
皆の疑いは、普段から変なやつとレッテルをはられた僕へと向けられた。
アカデミーで木遁はもちろん使った所などみせたことはない。
しかし、何処で誰が見ているのかは分からない。不協和音は、忍から大人へ、親から子供へと伝染していくものなのだろう。

囲まれて責め立てられていた僕を、
小さなか弱い少女が助けてくれたのだ。
それが太巻だった。

小さな声だった。
か細く、到底守ってくれそうな逞しさはなく、しかしその時の僕には一筋の光のようにも思えた。
僕なんかを庇ったら、どうなるかなんて目に見えている。
どれだけの勇気が必要だったことだろう。


『そんなことない…ヤマト君はそんなことする人じゃない…』


その一言が、あのときの僕には何よりの救いだった。


それからというもの、僕たちは共に過ごす事が増えた。
太巻の両親も、心の広い素晴らしい人達で、毎日のように夕飯をご馳走になった。

しかし、太巻の体調が優れず、アカデミーを退学してから、暗部の仕事が増えたこともあり、僕たちは次第に会わなくなっていった。
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