第4章 夢だけど夢じゃなかった
『ふぅ……。』
ドサッという音とともに、自分の布団に寝転がる。
二日目のこの自室も、いささか慣れてきたように思える。
私は自分の立ち位置がまったく分からない状態で、この世界にいるのは危険なような気がしていた。
周りからしたら昔から存在していたのかもしれない。
でも、ここにいる私は現実世界の私であり、この先の未来も知っている。
どれだけの人に出会っていて、どのような経緯があったのかを、もっと理解しておく必要がある。
そこまで考えると、大きな溜め息をひとつ漏らした。
『トリップ夢も…楽じゃないのね…ふぅ』
手っ取り早く知ることが出来るであろう人物の部屋へと向かうべく、私は自室を後にした。
―――――……
トントン…
『お父さん…入るよ?』
先程母から衝撃の事実を知った相手。父の部屋へと訪れた。
『お母さんは?』
「今、風呂だ。それよりも大丈夫なのか?さっきも食器を落としたりして。まだ本調子じゃないんじゃないか?」
『ごめんごめん。大丈夫!お父さんは心配性なんだから』
そうか?と笑う父は、髪の毛だけでなく、体つきも細身ながらも筋肉質なのが伺えた。
現実世界の父は、最近メタボだと騒いでいたっけ。
デスクに座り、本を読んでいる父の隣になるようにベットに腰かけると、私は父に話しかけた。
『あの…さ。お父さんって忍…じゃない?それで…中忍?だっけ?』
分からないが、分からないのは可笑しいわけで、何ともシドロモドロな自分に苦笑してしまう。
「なんだ突然。上忍だよ。」
『上忍!?!?』
突然立ち上がった私に、驚き怪訝そうな顔をする父。
「そんなこと、知ってるだろ?なんだ…今日はお前変だぞ?」
『あっはは。そ、そ、そうだった!上忍だったね。ごめんごめん。』
まさかの上忍に笑う顔がひきつる。
どんだけ強いのよ!うちのお父さん…。