第1章 1話
「秋くん。ありがとう。もう大丈夫だから。3次会向かっていいよ?私は帰るから」
言ってることはまともなんだけど。
やっぱり呂律は少しもつれ気味で
そしてふらついて倒れてきたから咄嗟に受け止める
「わっ……。ごめんなさい」
酒で赤かったのに更に耳まで赤くなって縮こまる先生
なんか、可愛いな
「ハハッ。謝ってばっかり」
思わず頭を撫でる
そしたらびっくりしたのか視線がキョロキョロして合わないようにしている
「……んで?帰るんすか?」
「…そのつもりです」
「ふーん。……んじゃ、送りますよ」
肩に手を回してタクシーを捕まえて押し込み隣に座る
燕先生はその後自宅の住所を運転手に伝えて
ぼぅっと一点を眺めていたかと思ったら眠ってしまって頭がぐらぐらしていたのでそっと引き寄せた
「………燕先生!着きましたよー!」
すっかり寝こける燕先生
タクシーの運転手が若干いらついてるのを他所に少し揺らして起こすとぼーっとした目で見つめられた
「眠たい?」
素直に頷くので、わかった。と腕を軽く引っ張りゆっくり立ち上がらせて肩を抱く様にエントランスへ
一向に鍵を出す気配がないから、鍵。と言うと素直に渡してきて部屋番号を言うからエレベーターに乗った
エレベーターに乗ってる間もふらふらとしてるからしっかり抱き寄せ、あのプロデューサーに持っていかれてたら一瞬で喰われてただろうなとぼんやり考えていた