第1章 1話
それからしばらくして
仕事帰りに二宮家の近くを歩いていると
燕先生がぶつぶつと何かを呟きながら難しい顔をして歩いていた
「あれ?先生?」
「うわっ。秋くん。びっくりした」
「ごめん、驚いちゃいました?」
ごめんね?と覗き込むように屈んで見つめる
「あれ?、、もしかして………あー。そういえばご近所か」
いつもの清楚系女子ファッションじゃなくてスウェットで、顔もすっぴんなのかあどけなさが少し出てて
雰囲気が違った
「あ、秋くんの家この辺なの?」
和さんの家=俺んちみたいなもんだしな
「えーと。……まぁそんなとこかな」
「そうだったんだ」
ニコッと返されて
ふと手元を見ると随分軽装で
「ん?どっか行こうとしてたの?」
思わず聞くと
「あー。今から大量に飲もうかなって」
お酒を。とへらっと笑う燕先生
大量に
若干弱めな燕先生が?
この軽装感は多分1人酒だろうし
そんな事を考えている間につい口から
「悩みあるなら聞くけど」
なんて聞いていた
「へ?」
燕先生は少し考え込んだ後顔を上げて一歩近づいてきた
「………ねぇ。秋くん。この後って用事ある?、、、あ、やっぱりなんでもない」
?
1人で自己完結させてる燕先生に首を傾げる
「なんでもない。もう行くね?」
バイバイ!と手を振った後立ち去ろうとするから
「あー。待って。……ないよ。用事……宅飲み誘われてるって判断していい?」
と笑いかける
「えっ。、、、でも」
どうしよう。と考えたり、やっぱり!と顔を上げたり
なんか忙しそう
「ちょっと待ってね」
そう言ってスマホを出してゆりに[今日帰らないから2人で堂々といちゃついてなよ]と送り
「じゃあコンビニ行ってしこたま酒を買おう!」
と先に歩いて行った
途中でゆりから返事が来てて[はーい♪…って!やめて!今現場!顔赤くなったの空さんにバレちゃった!]となんともゆりらしい返しが来て思わず、ふっ。と笑ってしまった。