第9章 いざ、波の国
俺は俺は???
と、言い寄ってくるカカシを
『抱き締めて下さる方は…ごまんといらっしゃるカカシさんには…必要ないのでは?』
と、きっちり断り、凹まし、マイは7班の見送りを終えた。
―――――――……
「あぁ!!マイさん!そこは判子いりませんよ!!」
「かわのさん!!!!チェックぬけてるわよ!」
「それは…ゴミじゃありませんよぉ!!」
『すみません……』
休憩時間になり、中庭のベンチに腰かけたマイはイルカへと謝罪の意味もこめ缶コーヒーを渡すと、ハァと項垂れた。
ナルト達が任務に出てからというもの、数日間マイは仕事で使い物にならない。
「気に…なりますか?」
イルカは仲の良いカカシとの間を疑うように、問い掛けたが思っていた回答は得られなかった。
『それはそれは気になります!!心配でなりません…ナルトは初めて里外へ出るのですよ!誰に狙われるかもわからないし…』
仕事が手につかないほど気にかけていた相手がナルトであることに、安堵するイルカ。
大丈夫かな…?
一緒に着いていきたかったなぁ…。
と、過保護ともとれる発言を繰り返すマイに、イルカは隣で優しく微笑むと、思わず膝の上で組んでいたマイの手に自分の手を重ねていた。
『イルカ…先生…?』
「大丈夫です。大丈夫ですよ…アイツは。
もうイタズラ小僧じゃないんだ!と火影様に啖呵きって今回のCランク任務をもらったんです。」
優しく、心からナルトを生徒として愛してる気持ちがダイレクトに伝わってくるイルカの思いに、マイは少し落ち着きを取り戻してきた。
「アイツ…忍の顔になってました。マイさんのお蔭もあると思います。」
にこやかに語る姿は、マイの気持ちまで暖かくする。
『私は…何もしてません。むしろ、ナルトに助けられています。彼は私にとって…太陽なんです』
マイがイルカへ向けて微笑むと、イルカは堪らず赤面し、顔を背けてしまう。
そして、手に触れ続けていたことに今更ながら気付き、あぁ!!すみません!!と離れようとするイルカたが、マイの手によってそれは叶わない。