第9章 いざ、波の国
「んじゃ行ってくるってばよ!!マイ姉ちゃん♪」
拳を空へ突き上げ、ナルトはマイに満面の笑みで言う。
「行ってきます」と言える家族がいる幸せを感じていた。
マイは、寂しさを感じ、ナルトへと走っていくと、ナルトをきつく抱き締めた。
な!な!恥ずかしいってばよ!!と慌てふためくナルトを気にも止めず抱き締める。
『ナルト…気を付けてね。私待ってるんだから…無事に帰ってくるんだよ?』
恥ずかしがってジタバタしていたナルトは、マイの言葉に動きをとめ、少し頬を染めながら、もう一度噛み締めるように、行ってきますと告げるのだった。
ふと…視線を感じ、目線を向けたマイは、サスケとカカシがこちらを見ている事に気づく。
フッと微笑をこぼし、マイはサスケへと走っていくとそのままナルト同様に抱き締めた。
「なっ!!お、おい!!」
思いっきり動揺するサスケの言葉を無視し、マイはサスケをキツく抱きしめた。
サスケの一族は、実の兄によって全滅し、サスケもまた一人で生きてきたのだ。小さい頃から親しんできた大好きな兄への「復讐」だけを胸に、修行を積み生きてきた。
しかしナルト同様、寂しかったのだろうと、マイは腕の中にスッポリ収まる子供の体を抱き締めながら思った。
考え方がいくら大人びても、まだ12歳の子供なのだ。
「行ってきます」を言える人を見つけたナルトを羨ましいと…少しでも思ったのではないだろうかと、マイは感じていた。
『サスケくん…行ってらっしゃい。』
抱き締めていた腕をほどき、サスケに向き合うと、目線を反らしふて腐れた表情をしていたサスケだが、
「い、行ってくる…」
と、小さな声で答えてくれた。