第9章 いざ、波の国
木ノ葉の里を厳重に守る象徴として「あん」と書かれた大きな門の前に、第7班と、依頼主、そしてマイは立っていた。
「出発――――っ!!」
ナルトは初めての里外任務に、ハシャギ気味な様子で意気揚々と叫んでいた。
「おい!本当にこんなガキで大丈夫かよぉ!」
「ハハ…上忍の私がついてます。そう心配いりませんよ」
老人の突っ込みに、苦笑を含みながら答えるカカシ。
この老人こそ、今回ナルト達に依頼を頼んだ依頼主、「タズナ」である。
橋作りの名人であるタズナの住む、波の国には忍がいない為、今回大掛かりな橋の建設をする期間の護衛を依頼してきたのだ。
「コラ!!じじい!あんまり忍者をなめんじゃねぇーぜ!
オレってばスゲーんだからなぁ!」
タズナに食って掛かるナルトに、周りにいた7班とマイは頭を抱える。
「いずれ火影の名を語るエリート忍者!
名を…うずまきナルトという!覚えておけ!」
(まぁた…始まった…)
言い合いが続く中、タズナの言葉にマイが反応した。
「認めやしねぇーよ…ガキ。たとえ火影になれたとしてもな」
『何故…そんなこと言うのですか?』
横から入ってきたマイに怪訝そうな顔を向けるタズナ。
付き合いの長いナルトは、マイの雰囲気にいち早く気付き、オロオロしている。
ナルトや仲間への誹謗はマイにとって禁句なのである。
なんせ…キレると怖い…。
「なんじゃ姉ちゃん…このガキの姉ちゃんか?」
『はい…家族です』
少しの反論も見せずに、「家族」と言い切るマイに、ナルトは嬉しさで胸がイッパイになる。
隣にいるナルトの後ろから両肩に手を置くと、マイは一切の迷いなくタズナへと告げた。
『この子は立派な木ノ葉の忍です。』
そして、サクラとサスケのもとへと近づき、後ろから二人の肩を抱き締めると
『この子達もみんな立派な忍です。
初めから決めつけて…バカにするなら…
埋めるぞ…老いぼれ…』
タズナは口をあんぐり開けて立ち尽くし、カカシ達7班は皆心の中で
― 口…悪っ!怖っ!!―
と…マイのことは怒らせまいと誓ったのだった。