第8章 弱音と強がり
分かっている…。
だからこそ自分が水流園の運命を背負わなくてはいけない…。
大丈夫。
私は…大丈夫…。
「ナガレの想いを…わしに継がせてはもらえぬか?」
だ…いじょう…ぶ…。
だけど…
本当は…
「その荷物を…ワシらにも背負わせてはくれんかの?」
マイは崩れるように地面に手をつき
泣いた…。
子供のように、わんわん泣く姿は
水神姫でも、翠月マイでもなく
普通の少女だった。
小さい声で何度も何度も
"ありがとうございます"と呟くマイを
火影は優しく抱き締めるのだった。
中忍試験も控えている為、他里が村を出入りする次期は心配というマイは、今すぐ明かすことは控えてほしいと告げる。
火影も気持ちをくみ、特別上忍、上忍と火影が信頼をおくものだけには、先に話すということになった。
『本当に…その…大丈夫でしょうか…』
それでも尚、不安そうなマイに
アスマと紅が告げる。
「大丈夫…。マイが今までコソコソしていたことが、おかしいのよ。
皆と一緒に、一族の名を誇らしく掲げ生きていいのよ…」
「問題ねぇよ…何かありゃ俺らが守るからよ♪ってか…お前の方が強ぇけどな」
二人の言葉はなんて暖かいのか。
マイは自分の中の枷が少しずつ外れていくような…感覚を感じていた。
「では…明日、臨時に招集をかけるとするかの。」
『あ、待って!』
マイは思い立ったように、火影に待ったをかける。
『もう少し…後でも構いませんか?その…』
マイの様子に何かを理解したアスマが続ける。
「カカシは…確か明後日から波の国じゃなかったか…?」
バッ!とアスマを振り返り、耳を赤くするマイ。
"お見通しなんだよ…"と口パクで答えるアスマに、じとーっと目線を向けるマイ。
その様子に気付いた火影は、フッと表情を弛ませる。
「あやつは…むぅ…
嫁に行かせるにはちと心配じゃのぉ…」
『ひー爺様!!!!!』
「ククク…冗談じゃよ…。カカシが任務から帰ってきたら…また期日を決めようぞ。」