第7章 知らない貴方
「まいったね~…」
咄嗟の事とはいえ、まさかたったアレだけの事で殺気立つとは思ってもみなかった。
カカシは頭をかかえ、先程の光景を思い出す。
「ムカつく…んだよなぁ…」
ゲンマがマイの頬に触れた瞬間、自分でも無意識に立ち上がっていた。
もし、ゲンマの隣にいたら自分はどうしていたのだろうかと、カカシは戸惑う。
この想いを何と呼ぶのだったろうか。
もう何年も前に封印した、胸の焦げ付くような、この想い…。
口に出したら恐らく、欲しくなってしまい欲求を抑えこめないかもしれない。
カカシは、自分の中で大きくなりつつあるマイへの欲に無理やり蓋をする。
このまま顔を合わせてはいけない。
カカシはそのまま、店に入らずその場を後にした。
この欲求を抑えこむ為に…。
―――――……
ゲンマから話しかけられるが
マイはまったく話の内容が頭に入ってこなかった。
お開きになり、外へと出るが
そこにカカシの姿はなく、先に帰ったのだとマイは辺りを見回し肩を落とす。
『あ、あの!今日はありがとうございました。』
「また誘うから!今度こそ色々聞き出すからね♪」
またね~。
おやすみ~。と、解散していく中
アスマがマイにそっと近づき耳元で囁く。
「そんな心配すんな。愛だね~」
バッ!と、振り返りマイはアスマを睨み付ける。
「おー、怖ぇ♪じゃあな」
『そんなんじゃないです!』
マイの叫びを背中に受け、アスマは紅に連れられて二次会へと連れて行かれた。
気にならないと言えば…嘘になる。
マイは、突然立ち上がったカカシの様子が頭から離れないでいた。
自分の…昼間の行動のせいであろうか。
トボトボと家路を歩いていると、考え事をしていた為、いつもと違うルートを歩いていたことに気づく。
『やだな~何やってんだ……か……』