第7章 知らない貴方
[今日は先生方と会う約束があるので
一緒に夕飯食べられなくて
ゴメンね…。マイ]
ナルトの分の夕飯を作り、メモを書き残し、マイは自宅で着替える。
昼間の事があり、あまり乗り気ではなかったが、せっかく誘ってもらった手前断ることは出来なかった。
首もとが少しあいた、黒のワンピースに身を包みマイは自宅を後にした。
―――――……
演習という名の芋掘りを終え
カカシは本日の飲み会の場である
「酒酒屋」へと足を運ぶ。
しかし、その足取りは重い。
昼間のマイの様子が頭をよぎる。
自分とまったく目線を合わせず、よそよそしかった。
手を払いのけて去っていくマイの姿が
頭から離れないでいた。
―――――……
「こっちこっち~」
店につくと、既にアスマ、ゲンマ、アンコ、ハヤテ、そして手招きしている紅が奥のお座敷に揃って座っていた。
マイは、壁際の端に座る。
隣に紅、向かいにはゲンマ。ゲンマの隣にアスマ、アンコ。紅の隣にハヤテ…と並んでいる。
「あんた~早く飲みなさい!!あ!お兄さん…だんご頂戴!え?ない?どういうことよ!」
「アンコ…居酒屋に団子はないわよ…」
すっかり出来上がってるアンコが店員に絡んでいる。
それを紅が宥める。
なんとも大人な対応である。
「あの子はほっといて…、マイちゃん何飲む?」
『遅れてすみません…。えっと…烏龍茶で…』
「烏龍茶?だめだめ!今日は飲んで♪
色々と聞きたいことあるしね♪」
ニヤニヤと言う紅にマイは苦笑の表情を浮かべる。
お兄さんビール!という紅の声が響く。
マイは困っていた。
カカシ以外には素顔を見せたことがないわけで、飲むときだけ口布を下ろしても、さして問題はないようにも感じるが…。
隅っこで一人百面相をしていると、
ふとアスマと目が合う。
頬杖をついてフッと笑っている所から、マイが何を思って百面相しているのか、バレているようだ。
声は出さず《だ・い・じょ・う・ぶ・だ》と、
口だけ動かして言う。
アスマの優しさに自然と笑みが溢れるマイ。