第7章 知らない貴方
噂は聞いていた…だが、噂は噂であり、
確証がなかったのだ。
しかし、目の前に突きつけられた現実に
マイは胸が締め付けられていた。
カカシは変わった…
演習の時のカカシと、男のカカシ…。
マイは何とも言えない、胸がジリジリと焦げ付く気持ちに吐き気がした。
「無視してんじゃないわよ!!」
再び振り上げられた女の手を片手でとめ、静かな…否、感情の感じられない声でマイは告げる。
『私が受付だから、お話しするだけです。貴女方が考えてらっしゃる感情はありません。お弁当を届けにいきますので…失礼します』
マイの雰囲気に圧された女達は
分かってもらえて良かったわ。と
その場を去っていった。
弁当を拾い、中を確認すると
少し片側に寄っているが、汚れることもなく食べられる状態であることに安堵するマイ。
何事もなかったかのように、ナルト達のいる畑へと歩き出した。
――――……
『ナルト~♪お疲れ様!
プッ…あはははははは。泥だらけじゃないの!』
「むー笑いすぎだってばよぉ。」
むすっと膨れたナルトだが、マイから弁当を受けとると、キラキラとした笑顔を向ける。
『あ、サクラちゃん、サスケ君!多めに作ってきたから皆で食べてね!
ただ…ちょっと崩れちゃってるけど…ごめんね』
駆け寄ってきた、サクラとサスケも泥だらけで、一生懸命任務をしていたことが伺えた。
「本当だぁ…マイさん転んだんですか??」
『あ、ははは。ばれちゃった?そうなの…ドジだよね~』
サクラの問いに一瞬肩をゆらし、嘘を列べる。
気をつけろってばよ~とナルトが突っ込む中、サスケはマイの事を静かに見つめる。
「顔…頬赤いけど」
ハッとしてサスケを見るマイ。
『え!やだな…ぶつけたのかもね…』