第6章 受け継がれる想い
「へっ!!オレってば別にめしなんか食わなくったってへーきだっ……」
ぎゅるるるるるるる……
威勢よく放ったナルトの言葉も、巨大な空腹を知らせる鐘の前では、説得力は皆無だった。
『お疲れ様♪忍者さんはすごいね。
それより…お弁当…食べないの?』
マイは手を後ろに組み、小走りでナルト達へ近づく。サスケもサクラも、ナルトをちらっと横目で見つつも弁当を食べ始めた。
気を抜くと鳴りそうな空腹にこらえ、
気を反らすかのようにナルトはマイに話しかけた。
「マイ姉ちゃんさぁ…その、俺達の演習見ててどう思ったってばよ?
カカシ先生の言ってる事も分かるんだってばよ…でも一人一人超強かったら、問題ないんじゃないかなぁ?」
ん~。と、考えたマイは、
三人の前にしゃがむと、柔らかい笑みで語りだした。
『受付にはね、任務報告書を色んな忍者さんが持ってくるの。成功して晴れやかな人も沢山いる。でも、成功してもすごく辛そうな…悲しそうな人もいるの。
それは…何故だと思う?』
三人は顔を見合わせるばかりで、答えは返ってこない。
『任務に成功した…でも仲間を失った…。』
ハッ…と、三人の息を飲む音が聞こえる。
『任務に失敗して罰を受けても…仲間が助かる。
任務に成功しても…仲間を失う。
どちらが正しいのか、私は忍ではないから分からない…。
けど…、
二度と仲間に会えないのは…すごくすごく、悲しいことだよね…』
もちろん仲間と任務成功が一番いいよね♪と笑かけるマイを、三人は静かに見つめていた。
影で気配を殺して様子を見ていたカカシは、マイの言葉に一瞬驚いたが
フッと表情を和らげる。
(…言うことまで…似てるなんて…ずるいよね~)