第6章 受け継がれる想い
「先生の子どもと、うちはの生き残りの先生だってさ…俺も教える立場になりましたよ…ミナト先生」
サバイバル演習当日の朝、
毎日の日課である慰霊碑の前にカカシはいた。
口では、師であるミナトへ語りかけるが、目は「翠月マイ」の名前を見つめていた。
数日前、アスマに言われた言葉が頭を離れないカカシは、マイと顔をあわせづらく、避けていた。
(昔の想いも整理しきれねぇで、次から次へとガキかお前!)
「……って、まぁ図星だよね…」
はぁ~。と、溜め息を吐き
困ったように頭をかく。
どこかで疑っている自分がいる。
どこかで比べている自分がいる。
慰霊碑に刻まれたマイと、
自分の想いをかき乱すマイ。
「そろそろ、吹っ切って進むべきなんだろうねぇ…
どうせなら、同一人物ならいいのにね…」
フッ…と自傷気味に笑い
カカシは演習場へと向かっていった。
――――――……
「で……ど、どうしたの!?」
『あ…来ちゃいました…見学♪』
おっそ~い!!!!!
と、生徒達に怒られ、ふと視線をずらすと…
先程、否、最近の悩みの種であるマイが、立っていた。
今日の演習を見に来いとナルトにごねられ、火影の承諾済みで見学にきたという。
「それよりも!カカシ先生、マイさん知ってる??受付の黒薔薇姫!
噂には聞いてたけど…キレイすぎ~」
やや、興奮気味のサクラ。
「口布してても……いける」
珍しく誉めるサスケ。
「た、たしかに姉ちゃんは、口布取ってもメチャクチャ綺麗だってばよ!
で、でもオレはサクラちゃんが…ゴニョゴニョ」
ナルトは置いておいて……
ん?
「「「………口布取っても!?」」」
ナルトの発言に、カカシ、サクラ、そしてサスケまでも反応する。
『ちょ…もうナルト!冗談やめてよ!
お世辞言っても何もあげないんだからね』
「お世辞じゃねぇってばよ!」
その直後、マイとカカシの目が合う。
最近、すれ違っていた二人はどことなく
ぎこちない。
「あ…、口布とるんだ…?」
『あ、はい。御飯食べられませんから…』