第5章 悩める男心
「なぁ…オヤジ…」
「なんだ?もう降参か?」
「ちげぇよ…ちょっと気になることがあんだけどさ…」
縁側で将棋を打ちながら、
シカマルは父、奈良シカクに問いかけた。
「マイっていう名前に
なんか心当たりない?」
すると、将棋盤から目を離し
シカクは静かに返した。
「女の事なんざ…珍しいな…。
何だ好きな女でもできたか?」
ニヤニヤと聞いてくるシカクに
シカマルはあからさまな溜め息を吐く。
「はぁ~めんどくせぇ。ちげぇよ。
なんか、オヤジの事すげぇ馴れ馴れしく言い出したから、気になってよ…」
シカマルの言葉に
なんだなんだ?俺も捨てたもんじゃねぇな♪
等と、おちゃらけていたシカクだが
真剣なシカマルの表情に
改めて口を開く。
「確かに、マイって奴は知ってる。
第二次忍界対戦で肩を並べて戦った…。
だが、もうこの世にいない。
俺が知ってるのは 翠月マイってやつだよ」
少し切なげに話すシカクに
シカマルは、それだけで可愛いがっていたのだろうと察した。
「珍しく興味持ったみてぇだし、少し話してやるよ♪」
「だ!ちげぇよ…めんどくせぇ…」
シカクが語った、マイという女性は
自分が知っているマイとは、まったく違う女性のように思えた…思えたのだが…
「方や、天才忍…
方や、ただの受付…」
名前が同じだからだろうか
自分が珍しく興味をもっているからだろうか…
シカマルは感じたことのない
むず痒さを感じていた…。