第4章 闇と光
暗部…という言葉に内心ドキッとしたマイ。
「精鋭揃いで凄い方たちばかりなんですよ、暗部って。
こんなこといったら、失礼になるんですが…その…人間味がないなと…思ってたんです。」
綴られる言葉を、静かに聞くマイ。
「任務遂行のために、そんな甘い事を言ってたらだめなんですけどね…」
ははは!
と、笑うイルカの声が響く。
マイはイルカに分からないように
少し顔を伏せ自傷気味に笑う。
人間味がない…
普段はあまり気にもとめないであろう言葉が、今のマイには辛いものがあった。
「でも…今回助けてくれた暗部は…
なんか、暖かかったんです。」
その言葉に、ハッと顔を上げる。
「凄い殺気で、そりゃ怖かったんですけど…でも、ナルトをそっと後押しするような、なんかそんな優しさが感じられたんです」
少し嬉しそうに笑うイルカを
驚いた顔で見つめるマイ。
「あ、あの…マイさん…?」
至近距離で見つめられたイルカは
たじたじである。
しかし、そんなイルカの様子など
気にすることなくマイは
『で、でも!その暗部は、もしかしたらイルカ先生が傷を負った時も近くにいたかもしれませんよ!?
助けられたのに、助けなかったのかもしれないんですよ!?』
イルカが若干たじろぐのが分かる。
マイも、何故こんなにも必死なのか分からなかった。しかし、止まらない。
『いくら任務優先だからって…仲間を見殺しにするなんて!』
自分は何を口走っているのだろうか。
マイは顔を伏せる。
「見殺しだなんて…そんなことしてないと思います。
任務だけを優先するなら、ナルトにあんな風に言葉をかけなかったと思いますから。」
ピクッとマイの肩が揺れる。
「本当は、助けに入る予定は元々なくて、確実に遂行するように言われたのではないかと…思います。あれだけの重要な物でしたから。
でも、助けてくれました…。
俺は…助けられました…」