第3章 葛藤
アカデミーへナルトを、迎えに行ったはずのマイは
木ノ葉商店街を歩いていた。
落書きを落としたご褒美に
イルカと一楽のラーメンを食べに行ってくると、
ナルトはイルカと共に夕飯へ出掛けたのだ。
「ニシシ…イルカ先生がご褒美に
一楽おごってくれるってばよ!」
駆け寄ってきたナルトが
満面の笑みでマイに伝える。
火影とマイ以外の大人に
優しくしてもらえることが
余程嬉しかったようだ。
「すみません。ナルト借りても大丈夫ですか?
あ、あの!もしよかったらマイさんも
一緒に…」
イルカは勇気を出してマイを
誘ったが、
暗部最強であり、
最強鈍感のマイには
イルカの男心が伝わるはずがなく
『フフ…気を使わないで下さい♪
二人で楽しんでおいで、ナルト♪』
と、笑顔でナルトに伝えるマイ。
早く行くってばよー!と
マイに元気に手をふり、
先を急ぐナルトの後ろで
イルカが、ガックリと肩を落としていた。
「どうしたってばよ、イルカ先生?」
無邪気に問うナルトに
「いや…あはは」
と、苦笑をもらすイルカだった。
(く~、マイさんといつも一緒にいる
お前が羨ましい…)
そんなイルカの思いは露知らず
仲良さげな二人の後ろ姿を満足気に見送ったマイは、今に至る。
(そういえば…ナルトの家の洗剤きれそうだったな~。
夜は暗部の召集があるから…買い物して帰ろう)
商店街を一人ブツブツと呟きながら
歩くマイに、三人の男が行く手を塞ぐように立ちはだかった。