第3章 葛藤
カカシは、水流園一族を知る数少ない人物である。
あの、マイとカカシが心を通わせた時、
水流園一族の事を聞いていたのだ。
その為、もちろんこの石柱のことも知っている。
マイは焦っていた
確実にカマをかけているカカシの言動に…。
『…ん?あっ、本当だ石柱ですね…。
こんなに立派なのに気づきませんでした…。
わぁ……近くで見ると素敵ですねぇ…
これは、何ですか?』
マイが簡単につられる筈がなく、
自然にごく自然にかえした。
「ん…俺も実はよくわかんないんだ~」
(ひっかからないか…。それとも本当に知らないのか…)
それは、静かな心理戦であった。
「マスクが何とかって…あれって何だったの?
ごめ~んね。立ち聞きするつもりは
なかったんだけど…」
一瞬ドキッとマイの鼓動が波を打った。
カカシの事を話していたのを、
どこまで聞かれていたのか
どう、解釈したのか…。
カカシは、その一瞬の動揺を見逃さなかった。
「なんか…まずいこと聞いちゃったかな~?」
すぐさまマイは、傷跡のことを思い出し
『あ…いえ、ただあまり人には
知られたくない事でしたので…
顔の左頬から顎にかけて、
幼い時にできた大きな傷跡があるのです。
それを隠したくて、口布をつけているんですが…
マスクをしてるとかえって
周囲にはバレバレですね…と
古い友人に話していたのです…』
少し、顔を伏せ、悲しそうな声色でカカシへと告げた。