第3章 葛藤
マイの言葉に、
一瞬ハッとして振り返った
カカシだったが、
今のカカシに、マイの言葉は
受け入れきれないものだった。
それ以降カカシは、
何よりも掟やルールに固執する
考え方を持つようになっていった。
しかし、第三次忍界大戦
神無毘橋の戦いにて命を落とした、友…
うちはオビトの言葉に救われるカカシであった。
そのすぐ後、
任務中に仲間を庇い、マイも立て続けに命を落とし、悲しみのどん底へ落ちたカカシだったが、
オビト、マイが残してくれた忍道を胸に
前を向いて進んでいく事を決意したのだった。
カカシにとってマイは、
よきライバルであり、友であり、
愛しい人であった。
────……
『天才かどうか知らないけど…
それくらい私もできるわ。
だから、私にとっては
ただの はたけカカシよ♪』
彼女はいつも、ありのままの俺を見ていてくれた…
「里の奴らがなんて言おうと…
お前は立派な…上忍だ…」
彼は、こんな俺に歩みよろうとしてくれた…
『私ね…カカシ。
貴方のお父さんは、
偉大で立派な忍だったと思うわ。
掟やルールは確かに大切なもので、
私達忍にとって守らなくてはいけないもの…。
でもね…
仲間の命を大切に出来ないような忍って
本当の忍なのかしら…』
「オレは白い牙を…本当の英雄だと思ってる…。
確かに、忍者の世界でルールや掟を破る奴は
クズ呼ばわりされる…
けどな…
仲間を大切にしない奴は…それ以上のクズだ!
どうせ同じクズなら、オレは掟を破る!
それが正しい忍じゃないってんなら…
忍なんてのは、このオレがぶっ潰してやる!!」
お前達の忍道……受け取ったよ…
――――……
ふっ…と、遠い記憶を思い返し
入り口に立っていた男…
はたけカカシは
「慰霊碑の前じゃないってのに…」
と、小さな声で呟いた。
今だ受付に戻らず、クスクスと笑いながら
窓際に立つマイの姿を見つめながら
自分の中の最後の記憶…
14歳のマイと重ね合わせる。
「名前が一緒な……だけなんだろうけど…」
どことなく、雰囲気がかぶるマイに
興味をもつカカシであった