第3章 葛藤
ど、どうしたんですか?と不思議そうに問いかけるイルカに窓を指差し…
『い、いました……あそこに』
と、笑いを堪えながら伝えた直後、
里中に響き渡るのではないかという程の
大きな声が聞こえてきた。
「バーーーーーカ!!!うっせんだってばよ!!
お前らさ!お前らさ!
こんな卑劣なことできねぇだろ!
だがオレはできる!オレはすごい!!」
そこには、火影岩にロープで釣り下がり
ペンキで歴代の火影達の顔にイタズラ書きをしている
ナルトがいた。
あまりに罰当たりな行為に
里の大人達から様々な罵倒が飛び交ったが、
ナルトは気にとめる様子もなく
ゲラゲラ笑いながら、イタズラを続けていた。
「あっ、の…バカたれが…!!」
隣にいたイルカは
マイに頭を下げると、ダッシュで屋上へと向かっていった。
走り去るイルカの背中を見送ったマイが、
クスクスと笑いながら窓際に近づくと
マイに気づいたナルトと目が合った。
マイはナルトに向かって親指を立てた右腕を挙げると、
ナルトも同じく親指をたて、
嬉しそうに笑っていた。
「マイまで…
まったく困った奴らよのぉ。」
知らせを受けて、屋上に上がっていた火影は、
二人のやり取りを見てボヤきつつも、
優しい顔をしていた。
しかし、その後現れたイルカによって
こっぴどく叱られたナルトであった。
――――……
その様子を
受付入り口の隅で見つめる
一人の男がいた。