第15章 写輪眼
試合が終了し、カカシはサスケの元へと降り立つ。
カカシもまた、サスケの成長に感嘆していた。
カカシだからこそ、サスケの事がよく分かるのかもしれない。
同じ写輪眼を持つ者として…。
純血の血筋として受け継いだサスケと、本来持つ事のない人間が移植して持つのでは、まったく違うことはカカシもよく理解していた。異質な自分でさえも、写輪眼の力を持つ事で、はるかに技の精度もスキルもあがったのだが…。
―恐ろしきは…うちはの血というわけか―
医療班がサスケに声をかけるのを制すると、カカシはサスケの耳元へそっと告げる。
「これから奥へ連れていって、呪印を封印する…」
「予選が終わるまで、待ってくれ…。本戦に残る奴の試合を見たい…」
しかし、カカシは一喝する。
「ダメだ!そう熱くなるな。これ以上放っておけば取り返しのつかないことになりかねないからな…。2度もワガママは聞いてやんないよ」
言い終えたカカシが向けた視線の先を、サスケも追いかけるように見やると、片手を挙げ挨拶する暗部を見つけ、サスケはカカシに問いかける。
「…暗部が何でいるんだよ」
「お前の護衛…。信頼できる奴だから大丈夫だよ」
カカシに支えられながら立ち上がったサスケは、再度暗部を見上げ、
暢気に試合観戦している暗部等大丈夫かと、もう一度カカシの顔を見上げた。
「アイツは強いよ…。俺は一度も勝てた事がない。今の火影様よりも…強いかもしれないからね」
カカシの言葉に驚愕の表情を浮かべるサスケ。恐らく、カカシは上忍の間でも…いや、里の中でも1,2を争う実力者であることは、身をもって体験している。そのカカシが勝つ事の出来ない、ましてや、老いた身だとはいえ、プロフェッサーと謳われた三代目よりも強い者など、今まで聞いたことのなかったサスケは、申面の暗部に自然と興味を持つのだった。