第2章 水神姫
マイに疑問と不安をぶつけた少年は
自分の問いかけへの返事に
どこか怯えるように、更に拳を握りしめていた。
その拳を見つめたマイは
そっと、自分の手で少年の拳を包み
『…嫌じゃない。嫌だなんて、何故?』
と、当たり前のように答え
『貴方みたいな元気な子、可愛いじゃない♪
大好きよ…』
と、抱き締めた。
少年は、突然の抱擁に一瞬肩を揺らしたが、
次第に肩の揺れは大きくなり
それは少年が泣いていることを物語っていた。
「お、俺ってば…俺ってば…
み、み、みんなから…
何でかわかんねぇけど…き、嫌われ…
化け物って…
そ、それで…それで…」
嗚咽まじりに絞りだされた
少年の声に、何も言わず頷き
落ち着くまで優しく抱き締めていたマイは、
ふと、火影に呼ばれていたことを思いだし、
少年と火影室へと向かった。
火影室の扉をノックし、
『ひー爺様ぁ!』と声をかけ扉を開ける。
隣で少年が「ひー爺様!?」と驚いていたが、
それを気にもとめず室内へと入ると、
奥の机に待ちくたびれた様子で
火影が座っていた。
「遅かったの…マイ
今日呼び立てたのは、
お前が前に会いたいと言っておった…」
そこまで話すと、マイの横にいる
見慣れた金髪の少年を見つけ
「なんじゃ、もう会っておったか」
と、キセルをふかし、マイへと
目配せをする。