第14章 第三次試験予選
後ろからかけられた声に、3人が振り向くと、シカマルが相変わらず子供らしくない気だるそうな雰囲気で立っていた。
「あぁ、こいつは水姫だ。まぁ昔からの同期みたいなもんだ。お前、木ノ葉の水神姫って知ってるか?」
アスマの問いかけに、しかめっ面でかえすシカマル。
「暗部にスゴいやつがいるって、親父から聞いたことあるよ」
「そうか…コイツだ」
さらっと伝えるアスマとは裏腹に、一瞬で驚いた顔付きになるシカマル。
「な、マジかよ…。本当にいたんだな。」
『ちょっと…私って何者なのよ…。』
子供たちには都市伝説のように伝わっているのかと思うと…何だか変な気分になるマイ。
「ふぅ~ん。てか、あんた前に会わなかったか?」
え?
まさか…商店街の時のことを…?
いや、でも今はまったく顔も出ていない状態なわけで、声もさっきの一言しか…。
「ったく、お前の洞察力には本当頭が下がるよ…。お察しの通り、あの時の女だ」
「『ちょ!アスマ!!』」
カカシとハモりながら思わず突っ込みをいれるマイ。
中忍試験中は機密という約束を軽々と踏み越えるアスマに、マイは胸ぐらを掴みくってかかる。
『何を考えている。約束を忘れたのか!?』
「忘れちゃいねぇよ。いずれ皆に伝えるわけだろ?コイツは下忍どころか中忍の中でもトップクラスの切れ者だ。いつもはやる気なさそうだけどな」
アスマが、何も考えず無謀な事はしないとは思ってはいたが、大蛇丸のこともあり、些か冷静でないのは自分だったのかと、アスマの胸ぐらからゆっくりと手を離し、すまない。と小さな声で謝罪する。
「いいんだ。俺も勝手に話して悪かった。恐らくコイツも何かに勘づいたから、声をかけてきたんだろうしな。」
アスマがちらりとシカマルへ視線を渡すと、頭をかきながら短い溜め息をついていた。図星ということであろう。