第13章 交錯する想い
不安で仕方ない気持ちをかき消すかのようなマイの叫びは、カカシに抱き締められたことで…止まった。
「違う…違うよマイ。大丈夫だ。」
違くない…あの時と…
あの時と…重なるの…
「俺達はもうガキじゃない。強くなった。」
もう…見たくない…
大切な人が傷つくのを…
「お前は一人じゃない!!皆がいる!」
カカシ…。
「もう…背負うなよ…。大丈夫だ。今度は皆で守るんだよ!!」
強く抱き締められた場所から、カカシの熱を感じ、マイは少しずつ落ち着きを取り戻していく。
不安だった。
水流園が滅んだあの時も、混乱の中で起こった悲劇だったのだ。
やっと手にいれた自分の居場所を、またも奪われるのか…。
大蛇丸を必死になって追いかけたマイは、誰よりも怯えていた。
カカシもまた、焦っていたのだ。
暗部要請が出たのが気になり、後輩の暗部に話をきき、いてもたってもいられず、気づいたら塔まで来てしまっていた。
ナルト達は大丈夫だろうか。
マイは…大丈夫だろうか。
普段なら普通の女性よりも頼りがいがあり、自分たちなんかよりも強い。しかし塔の入口で取り乱す彼女の姿は…
そのあまりにも小さく見える背中に…思わず声をかけていたのだ。
昔から何事にも冷静で、強かったマイ。任務中に弱音等絶対に吐かない彼女の、こんなにも乱れた起伏の激しさに驚き、こんなにも心の傷が深いのかと、彼女の口から出る言葉が悲痛の叫びに感じたカカシは、思わず抱き締めていたのだった。
『あ…の…カカシ…。もう大丈夫…』
落ち着きを取り戻したマイは、途端にカカシに抱き締められている状況に赤面し、離れるためにカカシへと伝えた。
が…抱き締められた腕は一向に緩むことがない。